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2026年度春季リーグ戦総括

[ 2022~ 中部大学 ]

2026年度東海学生ハンドボール春季リーグ戦。中部大学ハンドボール部は9戦8勝1敗、準優勝という結果で春季リーグ戦を終えた。8戦全勝で迎えた最終戦。対戦相手は中京大学。最終戦を迎える時点で中部大学は8戦全勝、中京大学は7勝1敗。

最終戦を終え、中部大学、中京大学ともに8勝1敗で並んだが対戦間成績で直接対決を制した中京大学が優勝、中部大学が準優勝という結果に終わった。本当にあと一歩だった。

新チームになって1月末の韓国遠征から春季リーグ終了までフルスロットルだった。あっという間だった。少し立ち止まって時系列で振り返っておきたい。

■シーズン前 ~チームの土台が変わる~
まず大きかったのは、昨シーズンの中心メンバーのCB平野(卒業後、福井永平寺BTへ加入)、LW川勝、GK濱野らが卒業。攻守でチームを支えていたメンバーが抜けて、新しいチームづくりが始まった。

■新チームの特色 ~幹部を中心としたチームづくり~
今シーズンは主将GK三浦(4年)、副将CB林田(4年)、副将LW大宮(3年)を中心に、OFリーダーCB平井(2年)、DFリーダーPV宿院(4年)、フィジカルリーダーPV近藤(4年)、メンタルリーダーRW平田(4年)というキャスティング。

昨シーズン以上に学生主体でチームづくりを進めてきた。グレーな部分についても(グレーな部分こそ)すべてをこちらで決めるのではなく、彼らの意見を聞きながら進めてきた。

・まず背景を伝える
・状況を共有する
・その上で学生たちが判断する

という形を大事にしてきた。

4年生の三浦世代はマイペース、破天荒、アウトローな人物が多い。ハンドボール以外の問題が起きる事も度々あった。今でもちょいちょいある。ああやりたい、こうやりたい、自分たちでやってみたい。がとても強い。それぞれの分野で主張があって「矛盾しているやろコレは」って事もズバズバ言ってくる。大変だけど面白い奴らなのだ。これが三浦世代のカラーである。

彼らが望み選んだやり方で春季リーグを優勝する。優勝することで自分たちの選択や決断に自信を深めて欲しい。そして、4年生全員(選手・マネージャー含めて)を胴上げすると決めていた。

■1〜2月 ~OFリーダー平井を軸にした準備と林田の決意~
新チームで攻撃の中心の一人として考えていたのがCB平井だった。昨シーズンから前主将のCB平野と共にチームの司令塔として攻撃を牽引してくれた。デビュー戦となった昨シーズンの春季リーグの愛知教育大戦では敗色濃厚のチームを引っ張り、敵陣に切り込み続けて何とか勝点をもぎ取ってくれた、その試合以降全ての公式戦でコートに立ち続けた。

その平井は昨季チーム内の得点ラインキング1位。主砲ハリス(2年)と並ぶ得点力を持っていた。ゲームメイク、1対1の打開、決定力、リーダーシップ、これらを兼ね備えたCB。新チームでは2年生ながらOFリーダーを担い「貫く走り」をテーマに掲げてくれた。高速ハンドボールの中心として準備を進めていた。

一方で今回の春季リーグでCBを務めた林田(4年)はBP上3枚すべてに対応できるユーティリティ性が魅力。新チームでは副将を務めることになりアウトロー軍団の4年生のまとめ役。プレーは勿論、精神的な面でもチームの中心人物である。スタートでもリリーフでもDFでもバランスを整える存在であり、本人からも「もう一枚CB必要ですよね?今季CBを軸にやっていこうと思います」という決意を聴かせてくれていた。

■2月末 ~平井の離脱と林田の役回り~
その平井が2月末にケガで離脱(診断結果から直ぐに春季リーグ期間中の復帰は難しいことが分かる)。誰か一人に依存しないチーム作りをしてはいるが、チーム作りに主軸、核となる人物は必要不可欠。平井はまさにチームの誰もが認める「余人をもって代え難い」存在だった。

平井の離脱を受け、選択肢は2つ。
・林田の役回りは変えずにリリーフCBのまま運用する
・林田を役回りを変更してスタートCBに上げる

春季リーグ戦の開幕まで約1ヶ月。時間は限られており、あれこれ試すことはできない。「クレバーで、安定感のある林田がベンチにいて後から出てくる方がいいのでは?」と言う意見もあったが、幹部の三浦、林田らと対話を重ねた末に出した結論は「林田をスタートCBの軸として準備していく」というものだった。この決断が、その後のチームのフレームになっていった。

■3月上旬 ~山梨遠征~
春季リーグ開幕を前に3月上旬に山梨遠征を行った。インカレ上位チームが全国から集まってくる山梨遠征。学生たちにとってはインカレの前哨戦とも言える山梨遠征。テストマッチとはいえ、実力のある関東勢、関西勢と実戦ができる貴重な機会だ。

林田の負担を減らすために、「林田とペアになるもう一人のCBを誰にするか?」「あるいは複数のCBで回していくのか?」そんなことを視野に入れての山梨入りだった。

幹部や本人たちと相談しながら、山梨遠征では檜垣(2年)、田中(2年)、大城(2年)らを、山梨遠征後の練習試合では長谷川(4年)らの動きを確認していった。

■個人の成長を最大化 ~リーグHへのチャレンジ~
韓国遠征の前後を含め、1月末から3月末にかけては、4年生を中心に8名の学生がリーグHチームの練習に参加させてもらった。三浦、ハリスは豊田合成ブルーファルコン名古屋でチャレンジゲームスまで経験させてもらい、他の選手たちもそれぞれ高いレベルの環境を経験させてもらった。

その影響もあり、この時期は毎週のように誰かがリーグHの練習へ参加していた。チーム全員が揃って活動できた日は数えるほどだったが、それ以上に収穫も多かった。外で刺激を受けた分だけ、学生たちは様々なものを持ち帰ってくれたと思う。

■3月中旬 ~新一年生が合流、70名体制へ~
山梨遠征を終えて新1年生24名が加わり、チームは70名体制へ。講習会などで単発的に100名前後の人数を同時に指導した経験は過去に何度かあるが、日常的にコレだけの大人数を指導し続けた経験はない。僕にとっても大きな挑戦だった。

■日本と世界の分岐点 ~外国人指導者から見た日本の大学生チーム~
これまでに一緒に仕事をしてきた外国人指導者と話をしていると、日本と世界との差は20歳前後で急激に開くことはよくに話題にあがる。

世界の最前線で同世代は人生や生活をかけてプロフェッショナルとして活動し、実力が拮抗した相手と年間に50試合以上の修羅場を経験する。代表選手ともなるとそれ以上の年間の試合数になる。そして20名前後のチームで活動し、一週間あたりのトレーニングセッション数も日本の同世代よりも多い。午前、午後と活動する機会が日常的にあると聞く。

対して日本はこの年代の多くが大学生チームで活動する。試合数が激減、30名、40名を超える大人数での活動になる。当然一人当たりのボールタッチ数は減る。個人レベルでのトレーニングの頻度、強度を確保することは難しくなる。ここで一気に差が広がる。

外国人指導者からは「impossible(不可能)」だと何度も言われた。

■70名体制で実際にやってみたこと ~矛盾の先に~
「impossible」と言われたとしても、やるしかないわけである。「個人成長の最大化」と「一体感」一見すると矛盾しているのだが、下記の2点のバランスをとりながら進めることにした。

・選手個人の成長を最大化させるために練習の質と量を保つこと(一体感を追いかけすぎて、必要な内容、強度、頻度を確保できないってことがないように)
・個人の成長を最大化させた上で、チームとしての一体感を大切すること(活動を分けたとして、分断が起きないように)

一体感とか、チームワークから先に入ってチーム作りをすると上手くいった試しがない。自分の特徴を理解し、自分の強みを活かして、自分の役割をやり切ることがチームワークだと思う。

人数が増えたことで、練習は毎回少しずつ形を変えながら進めるようになった。その日のテーマや強度を調整しながら、“その日に一番良い形”を探していくような感覚だった。春休み期間中は、午前、午後で活動を分けたり、部分的に重ねたりしながら進めていった。

流動性があり、共通コンセプトのある2チームを掛け持ちでみている。って感覚だった。特に春休みは丸一日、体育館にいて、そこから2チーム分の映像を観て、翌日のテーマ&メニューを考えて、成長が最大化できそうなグループ分けをしてって繰り返しだった。

春学期が開始してからは朝(1年性と希望者)と夕(全員でやったり2グループに分けたり)とで調整しながら進めていった。それでも授業が5コマ目にある選手がいたり、コンディション調整中の選手がいたり、試合前日&当日は他会場で偵察隊がいたりと、こちらで漏れがある部分や個別対応が必要な部分は学生やスタッフが僕の知るところでも知らないところでも各々が主体的に調整して動いてくれた。(これは本当に助かった。)

■開幕戦ミーティング ~ベストを尽くす&One~
春のリーグ開幕戦のミーティングで伝えた言葉が2つある。

・ベストを尽くす
・One

「ベストを尽くす」は言わずもがな。
「One」とは、一発目、一歩目、一本、一瞬。その一つ一つを大切にすること。その積み重ねがチームを一つにしていく。
この春はこの言葉から始まった。春季リーグ戦中も何度も何度もこの2つを確認しがら進めていった。

■春季リーグ ~試合結果~
4/11 vs南山大学 ○ 39-24
4/12 vs愛知大学 ○ 43-30
4/19 vs名古屋大学 ○ 51-25
4/25 vs岐阜聖徳学園大学 ○ 44-18
5/3 vs朝日大学 ○ 38-25
5/9 vs愛知教育大学 ○ 43-22
5/10 vs大同大学 ○ 28-23
5/16 vs名城大学 ○ 28-27
5/23 vs中京大学 ● 26-29

■春季リーグ序盤
春季リーグの開幕2戦はチームで課題も多く、公式戦デビューの選手もいて、安定感に欠ける試合内容だった。リーグ後半を見据えて、学生たちも3戦目からは得失点をかなり視野に入れて、結果にも内容にも拘って試合に挑むようになっていった。特に3試合目の名古屋大学戦以降はチームとして、ギアが一つ上がった。その後も危なげなく勝点を積み重ね6戦終えた時点で開幕6連勝。

■ハリスの代表合宿と山場の2連戦
5/9の愛知教育大学戦、5/10の大同大学戦の週に主砲ハリスが日本代表合宿で不在。そして代表合宿から戻り、そのままぶっつけ本番で試合に合流。この2週間前から、この頃に必要な要素を前倒ししてトレーニングしてきた。この週はGWで授業がなく、日中にチームの活動ができたので、週の初めに先に大同大戦の準備をして、後半に愛知教育大戦の準備をした。

この辺りも事前に幹部を対話を重ねて、目の前のことに集中するためにスケジュールを組んだ。対戦相手の対策ミーテイングにハリスは参加できないので、分析リーダーの小川(2年)を中心に、ハリスがスムーズに再合流できるように分かりやすく映像をまとめ、愛知教育大戦後にすぐに試合会場で翌日の大同大戦の直前ミーテイングができるように最善の準備を整えてくれた。

ベストを尽くした結果、勝負の大同大学戦に勝利することができた。特に中央のDFを務めた村田(2年)と斎藤(4年)のハードワークが光る試合だった。

■名城大学戦、そして運命の中京大学戦
5/16の名城大学戦は序盤5-10の5点差を追いかける展開。劣勢にチームを救ったのが池田(4年)と大宮だった。二人とも上背はないが、相手の隙をつくプレーが得意な曲者二人が流れを変えてくれた。前半のうちに一気に逆転に成功し、後半も名城大学の追撃を交わして1点差で勝利することができた。

5/23の中京大学戦。全勝優勝のかかった大一番。学生たちは持てる力を出し切ってくれたが、中京大学が攻守に中部大学を上回り3点差で敗戦。中京大学は本当に素晴らしかった。

■この春を通して
70名の選手のうち27名がコートに立った。公式戦デビューが8名。全試合にベンチに入ったのは10名。複数の選手を試していたCB陣も長谷川、大城、岡(1年)、山根(1年)がコートに立って活躍してくれた。初めから決めていたわけではなく、このチームの中で役割を分け合いながら積み上げてきた結果だった。

■最後に
この8勝1敗は、うまくいった結果ではない。その都度起きる変化に向き合いながら、考えて、選んで、積み重ねてきた結果だった。そしてこの春には、強い思いがあった。この4年生を中心に学生たちが選んだこのやり方で優勝したかった。

自分たちのやってきたことに、自信を持ってほしかった。優勝して4年生全員を胴上げしたかった。

全勝で迎えた最後の中京大学戦で勝ち切ることができなかった。本当に悔しかった。あと一歩。あと少し。

でもその僅かな差が勝敗を分ける。それでも、この春のすべては次につながっている。今回のこの悔しい経験を糧にして頑張るのみ。

春季リーグ戦、そして中部大学ハンドボール部に関わって下さった全ての皆さん、本当にありがとうございました。少し休んで、今度は西日本インカレに向けて頑張ります。


(左から得点王のハリス、ベスト7の林田、村田)